研究概要 |
平成15年度の研究内容及び得られ知見等を交付申請書の研究計画に対応させて記載すれば以下のようである. 1.加速度-変位応答スペクトルは修正Parkらの損傷指標Dの所定値D_r,正の係数β,系の減衰定数h及び終局変位靱性率μ_uの値に依存し,D_r,μu及びhが大きく,逆にβが小さくなるにつれて原点に近づいてくる(加速度S_a及び変位S_dのスペクトル値が共に小さくなる).ただし,この傾向はSa値で顕著であり,S_d値ではあまり顕著でない.また,加速度-変位応答スペクトルは系の復元力特性にも依存し,Bi-linear型モデルの方がQ-hyst型モデルよりもS_a及びS_dのスペクトル値が共に小さくなる.さらに,地震動タイプ及び地盤種別にも依存し,S_a値はタイプII地震動では地盤が堅いほど,逆にタイプI地震動では軟らかいほど大きくなり,S_d値は両地震動タイプとも地盤が軟らかくなるほど大きくなる.これらのことより,加速度-変位応答スペクトルを用いた「力及び変位に基づく耐震設計法」では,上記の点に十分留意し,設計対象構造部に適した設計用スペクトルを導く必要があるなどの知見を得た. 2.RC門型ラーメン橋脚の固有周期,最大応答変位,履歴吸収エネルギーは,その弾性1次固有モード形を荷重比としたPush-Over解析から求まる等価1自由度系を用いて,比較的精度良く求まる.ただし,自由度の多い2層ラーメン橋脚では少しその精度が落ちる.また,RC門型ラーメン橋脚については,単柱式RC橋脚とほぼ同様に,加速度-変位応答スペクトルを用いた「力及び変位に基づく耐震設計法」が可能であるなどの知見を得た. 3.単柱式RC橋脚を持つ5スパン連続橋の等価1自由度系の誘導を試行錯誤的に試みたが,設計に必要となる特性点の最大変位応答値や最大加速度応答値を精度よく再現できる等価1自由度系を導くことができなかった.したがって,その力及び変位に基づく耐震設計法の開発は,今後の継続課題となった.
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