研究概要 |
本研究では,単純な形状をもつ孤立峰の後流中のどのような流れが,どのようにして橋梁模型に特異に大きな水平応答を生じさせているのか,メカニズムを明らかにすることを目的としている. 今年度は,底面直径と高さの比が4.5の円錐形の孤立峰の後流における流れの大まかな構造特性を把握することを目的として,流れの可視化と風速測定を行った.可視化にはスモークワイヤー法を用い,スリット光をあてる位置を種々変化させ,モーションスコープで撮影した動画をデジタルビデオカセットに記録した.可視化の結果,1)山の頂点から底面直径の1/4程度下流側の位置に頂点をもつ円錐形の渦が発生し,2)その円錐形の渦の軸は水平面において主流直角方向から50゜程度風下側に,鉛直面において概ね山の斜面の角度だけ傾いており,3)風下方向かつ鉛直下向きに移動し,地面にぶつかる部分から徐々に消失する,ことが示唆された. また,スプリットフィルムを用いて測定された変動風速は,上記の渦が通過する位置において変動量が大きく,特に渦が発生または消失する位置において大きな変動量を示すことがわかった. 以上のようにして流れの構造を推定したが,これは,来年度にその構造の定量的な把握を試みる際に,プローブの設置位置を決定したり,測定された変動風速の解釈を行ったりする場合に必要となる判断材料を得るために行ったものである.来年度は,スプリットフィルムによる変動風速測定結果に対して,大きな模型応答が生じる条件の元でのサンプリングを行うことにより,大きな応答を生じさせる流れの構造を定量的に捉えることを試みる.また,現時点ではやや計画よりも遅れている状況であるが,可能な限り模型に作用する圧力測定も実施し,流れの構造がどのような空気力を生じさせて特異に大きな応答を生じさせるのかまで明らかにしていければと考えている.
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