研究概要 |
本研究は,山の後流中に位置する橋梁の特異に大きな水平応答の発生メカニズムを明らかにするために実施した. 山の形状と橋梁模型は単純化して,それぞれ円錐形および片持ちばり模型とし,後流中における橋梁模型の位置および水平偏角をパラメトリックに変化させて応答測定を繰り返した.山の高さHに対して底面直径は4.5H,片持ちばり模型の長さはH,設置高さは0.123Hである.山の中心から3.3H程度下流側に模型を設置した場合に,水平応答の標準偏差が大きくなった.また,接近流直角方向を基準にして自由端が風上の向きに40°方向となる水平偏角の場合に応答が大きくなった.応答の尖度は,通常のガウス過程における値3に比べて4〜4.5程度の大きな値を取るケースがあることもわかった.スリット光の方向を種々変化させ,高速ピデオにより山の後流の構造を詳細に観察した結果,頂点が風上の向きで軸の水平偏角が40〜50°の円錐状の渦が発生していることが推察され,これが大きな水平応答の発生原因となっている可能性が考えられた. さらに変動風速と模型応答の同時測定を実施し,大きな水平応答の発生を基準とした条件付サンプリングを同時測定された変動風速に対して行い,大きな応答が生じる際の変動風逮の特性を明らかにすることを試みた.その結果,水平偏角が40°程度の傾きを持って作用する変動風速が大きな応答を生じさせていることを示すケースがあり,これは可視化において推察された渦の構造と対応するものと考えられた. 一方,こうした変動風速の特徴が見られないケースもあり,また応答測定においては再現性が良好でないケースがあった.後流の特性が微妙な実験条件に影響を受けている可能性等,原因の検討が必要である.圧力測定に基づく空気力特性についでも,精度の高い測定法を検討している段階であり,さらに研究を実施していく必要がある.
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