既に研究代表者が開発した、運動学的断層モデルから発生した地震波が地盤中を伝播し地表面に到達するという地震波発生・伝播の物理過程を剛性マトリックスによって定式化する方法を用いて、横ずれ断層近傍の30km四方の地表面の水平変位、水平速度並びに水平加速度の時間と空間変化を調べた。これらの結果から、地震動の変位成分と速度、加速度成分の時空間分布特性は明らかに異なり、短周期地震波が卓越する速度、加速度成分に関する地震波の渦の方が、局所的に変化している様子を明らかにすることができた。震源断層近傍地震動の様子を理解するのに役立てるために、これらをアニメション化し、視覚化した。 2000年鳥取県西部地震による強震観測網のデータから、上記のような地震波が渦を巻きながら伝播する現象の検証を試みた。ぼんやりではあるが、シミュレーション結果と同じような特性が確認できた。 断層近傍に典型的な都市高速道路の連続高架橋を想定し、3次元非線形応答解析を実施し、その応答挙動を調べた。その結果は、従来の耐震設計で多用されているような連続高架橋の各橋脚に同一の水平地震動を入力する場合よりもかなり大きな応答が得られることがわかった。 長波理論に基づく津波シミュレーションコードの整理を実施した。今後、非線形分散波方程式(ブシネスク方程式)による津波波形の計算と構造物への波力の推定法を開発する。
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