高振幅のねじりS-N曲線を得ることに焦点を絞った。その理由は前年度の研究において、(1)繰り返しねじり荷重が高振幅の場合は結果に大きなバラツキがあり、信頼性を高める必要が認められること、(2)S-N曲線に不連続点が存在する可能性があり、その確認の必要性が認められたことによっている。実験に用いた試験体は前年と同様に、断面幅15cm、高さ20cm、長さ2mである。実験では、繰り返し載荷レベルを単調ねじり破壊耐力の60〜80%に設定して、正負二方向ねじり疲労試験を実施し、前年度の結果と総合した。得られた結果の要点を列記すれば、次のとおりである。 (1)荷重振幅を単調ねじり破壊耐力の60〜95%としたときのS-N曲線が得られ、実験式として提案した。 (2)ねじりにおいても、他の疲労挙動の評価と同様に、繰り返し回数を対数表示することによって直線近似式による疲労寿命の予測が可能である。 (3)荷重振幅と疲労寿命との関係(S-N関係)において特徴的なことは、荷重振幅が80%前後で不連続点が認められる点である。この点は軸方向鉄筋または横方向鉄筋の降伏に相当しており、疲労寿命の低下率が大きくなる転移点と評価できる。 (4)今後の検討課題は次のとおりである。(1)つり合い機構の変化を考慮したねじり疲労挙動評価式の定式化、(2)補強鉄筋量を変化させたときの資料の充実化、(3)疲労破壊はいずれも負方向載荷時に生じている。すなわち、ねじり疲労挙動は一方向繰り返し載荷時と相違する可能性がある。この点の明確化。
|