研究概要 |
本研究では、数値流体解析(CFD)により偏平箱桁断面の非定常空気力を算出するために、平成13年度は、まず、解析専用のPCクラスター型並列計算機システムの製作を行た。これと平行して耐風工学の上で基本的な断面とされる矩形断面の数値流体解析(CFD)を実施し、数値流体解析(CFD)に残された問題点の洗い出しを行った。実際に解析した断面は、断面辺長比B/D=0.5ならびにB/D=150であり、静的な空気力を中心とした。具体的には以下の結果が得られた。 1.B/D=0.5矩形柱断面の解析 本矩形柱は、風の傾斜角によって揚力,抗力,ストローハル数の特性が急変することが風洞実験により指摘されている。代表的な現象としては,断面の長辺が風軸直角方向から反時計回り方向に回転するのを風の傾斜角をβとすると、β=23°でストローハル数にピークが見られ、またβ=88°で2つのストローハル数が現れるとされている。このようなことから、本研究ではこの断面を用いて種々の風の傾斜角の基での静的空気力特性に関する数値流体解析を行い、風洞実験で得られている結果との比較により静的な流れの場及び空気力の傾斜角変化を忠実に再現できるかを検討した。 本研究の結果、風の傾斜角の違いにより流れの状態が変化する矩形柱断面の静的空気力特性を数値流体解析によりほぼ再現することができた。 2.B/D=150矩形柱断面の解析 物体に作用する非定常空気力は、非定常空気力係数によって評価される。この非定常空気力係数は、振幅依存性を考慮していないことから、振幅依存性がないという仮定で表されている。しかし、宇都宮らの風洞実験によると超偏平な矩形断面において高風速域側で振幅依存性が生じる事が指摘されている。よって、本研究では数値流体解析によりまず静的空気力係数を算出し、風洞実験結果で指摘されている振幅依存性について数値流体解析の面から確認することを検討した。 本研究の結果、風洞実験で指摘された通り、迎角8°付近から揚力係数がフラットになる現象を掴むことができた。振幅依存性が存在しない場合は、揚力係数の勾配が線形に増加するので、振幅依存性が存在する可能性を示すことができた。
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