研究概要 |
平成14年度は,次の成果を得た。 1.コンクリートの材料特性試験 RCはりやRC版のせん断応力度の算出についての現行コンクリート示方書が規定する許容せん断応力度はかなり安全側に設定されている。また,近年の品質管理の向上により,従来からせん断応力の特性値の解明が必要である。そこで,新一面せん断試験装置を製作してコンクリートの圧縮強度が20N/mm^2〜120N/mm^2までの管理供試体を用いて圧縮強度に対応したコンクリートの実せん断応力度を得た。また,RCはりを用いてのせん断実験を行い,理論解析における適合性を評価した。 2.鉄筋コンクリート(RC)床版の実験 道路橋RC床版をモデル化したRC版に(1)静荷重載荷実験,(2)走行荷重載荷実験,(3)走行一定荷重載荷実験,(4)走行振動荷重載荷実験を行った。その結果,静荷重の場合の押し抜きせん断耐力に対して走行荷重の場合の耐力が24%低下する結果を得た。その破壊メカニズムは,静荷重載荷の場合は40°〜50°の拡がりを持つ押し抜きせん断破壊となった。しかし,走行荷重載荷および走行振動荷重載荷の場合は,軸直角方向は押し抜きせん断破壊形状を示すが,軸方向は軸直角方向に発生したひび割れにより床版ははり状化し,曲げ破壊形状を示している。したがって,曲げ卓越型の押し抜きせん断破壊となった。 一方,走行一定荷重載荷および走行振動荷重載荷の場合の耐力は,荷重振幅が±20%の場合は近似するが,荷重振幅±30%の場合は走行一定荷重に対して約3〜5%低下するもののほぼ近似している。しかし,荷重とたわみの関係より,走行一定荷重に比して走行振動荷重による動的影響が剛性の低下を著しくする結果を得た。 RC床版の理論解析においては,静荷重載荷における破壊形状による力学モデルを検討し,また新一面せん断試験から得た実せん断応力度を適用して,実験値との適合性を検討している。
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