本研究では、衝突を受ける橋梁スラブの衝撃応答に伴う衝撃音の伝播特性について、実験的および解析的に検討を行い、以下のような研究成果を挙げている。また、これらの内容の一部は、学会誌等に発表している。 (a)球体の衝突を受ける平板から生ずる衝撃音の発生機構と音響特性 精密騒音計と音響インテンシティメータを用いて、球体の衝突を受ける平板の衝突実験を行い、衝撃音は衝撃パルス音やパルス音に続く残留音として発生することを明らかにし、衝撃音の発生機構は、平板の材種(物性値)や周波数特性により、かなり異なった性状を示す。また、衝撃パルス音は、近接計測では平面波の性状を示すことも明らかにしている。さらに、衝撃音をスペクトル解析して求めた周波数と板の振動数との相関性が強く、衝撃音から、板の振動数が高い精度で推定できることを実験により確認した。 一方、音響インテンシテイメータを用いれば、球体の衝突を受ける板から発生する衝撃音の強さを表すインテンシティ分布が求められ、その分布特性は、板の振動モード形状に依存することを明らかにした。また、音響インテンシティ分布は、必ずしも音圧分布とは一致するとは限らないことも音響実験により確認している。 (b)平板の衝撃応答の発生メカニズムと曲げ波伝播特性 Herzの衝突理論とモーダル解析法を適用して、球体の衝突を受ける平板の衝撃応答解析を行い、衝突応答の発生メカニズムと曲げ波の伝播特性について検討を行った。これより、衝突中に発生するパルス応答、波動伝播に伴う応答や残留応答は、板の材種により、かなり異なった特性を示し、またパルス速度応答から求めた音圧値は、平面波の特徴を持つ衝撃パルス音と高い相関性が示されので、動的応答解析を適用すれば、衝突に伴う衝撃パルス音の大きさをある程度推定できることを明らかにしている.
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