地盤の液状化・流動化問題は、大地震の際の大都市臨海部の被害に大きく影響を与えると考えられているが、その挙動は複雑で未解明の部分が多い。本研究は、ミクロな立場から地盤粒子-間隙流体の挙動を観察し、液状化・流動化現象のメカニズムを解明すること、そして、地盤流動量や、建物基礎に作用する外力算定を行うための基礎データを提供することを目的とする。 まず、通常の豊浦砂を用いた中空ねじり試験より、地盤材料の液状化・流動化挙動を要素レベルで再現し、材料としての剛性回復メカニズムの重要性を確認した。続いて、地盤の液状化・流動化挙動に関するミクロ情報とマクロ情報の同時計測を企図して、3次元粒状体内部構造の可視化手法であるLAT(Laser-Aided Tomography)を適用した平面ひずみ試験装置を製作し、基礎的な要素試験によりその有効性を検証した。更に、これまで主に粒子挙動の計測を主目的としてきたLATにおいて、間隙流体の挙動を同時に計測するシステムの構築も試みた。高画質・高速度の画像取得システムと組み合わせ、液体中の粒子の自由落下のような、単純だが比較的速い運動における適用性の検討を行った。 一方、離散的な数値解析法を用いて、粒子-流体系のミクロな相互作用についても検討を行った。間隙流体を考えない、定体積個別要素法シミュレーションにより、非排水条件での地盤材料の液状化・流動化挙動をかなりの程度再現できることを明らかにし、その際の接触点分布の時間変化等、実験では得ることの難しい情報について検討した。その結果地盤の液状化とそれに続く単調載荷での剛性回復現象は、粒状体中の接触点および準接触点(変形によって接触点となりうる点)の分布を考慮することで、そのメカニズムの明確な説明が可能となることを明らかにした。一方、部分排水条件等、より一般的な条件下での粒子-流体系の相互作用を解析するためのシミュレーション手法の開発を行った。
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