研究課題/領域番号 |
13650537
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
太田 秀樹 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (80026187)
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研究分担者 |
日下部 治 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (40092548)
大森 晃治 (株)地盤解析研究所, 所長
小林 一三 鹿島建設(株), 技術研究所・土木技術研究部, 研究員 (20303258)
高橋 章浩 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (40293047)
桑野 二郎 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (30178149)
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キーワード | 斜面 / すべり破壊 / 進行性破壊 / 地すべり / 地下水 / 一面せん断 |
研究概要 |
軟岩斜面がすべり破壊を起こすかもしれない、もしくは起こしてしまった現場から、すべり面に挟在するすべり粘土を不撹乱状態で採取し、強度試験に供しようとする場合、通常数ミリから数十ミリの厚さしかないすべり粘土を3軸試験機にセットすることが難しい。3軸試験にくらべて精度的に劣るとされてきた一面せん断試験機になら薄層の供試体でもセットできるため、一面せん断試験の力学的な問題点の解明にあたってきたが、試験結果の理論的な解釈がほぼ満足すべき段階にまで到達した。等体積一面せん断試験から得られる有効応力経路と内部摩擦角が、3軸試験から得られるものと定量的にどのように異なり、両者の相互関係がいかなる理論式で与えられるのかが解明された。これにより、一面せん断試験の結果から3軸試験の結果を理論的に推定することが可能になり、軟岩斜面のすべり破壊機構を研究するうえでの実証的な方法論の有効性をさらに高めることができた。 等体積一面せん断試験から得られた有効応力表示での強度定数のなかで、過圧密状態に対応する華直応力のもとで実測される粘着力成分を、現場でのすべり破壊に適用すると非現実的な高い安全率が算定される。現場での垂直応力が明らかに過圧密状態に対応するような場合に対しても、同様の傾向がみられ、その解釈が問題となっていた。いくつかの現場試料について実験を繰り返したところ、せん断直前に水を作用させると、粘着力成分が消えてしまうらしいことが分かってきた。現場で軟岩斜面が崩壊するときには、降雨などの影響によって地下水位がたかくなっていることが多いという事実と較べあわせると、地下水位の上昇によってすべり岩体に働く外力が大きくなるだけでなく、粘着力成分を失うことによって強度そのものが大きく低下しているのかもしれないという仮設が現実味をおびてきた。現在この仮説の検証に当たっているところである。
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