研究概要 |
本研究の目的は現行の土質力学理論を適用することが困難な土(即ち,応力履歴が不明または推定不可能で,同じ状態の供試体を準備することが難しい不均質な土)のせん断強度をより統一的な視点で評価する方法を確立することである.昨年度までに大山松江軽石(DMP)および大山倉吉軽石(DKP)の不撹乱試料に対して一面せん断試験を実施し,せん断強さに及ぼす間隙比または含水比の影響について考察してきた.平成15年度には,前年度までに得た成果を国際的に公表するとともに,大山倉吉軽石(DKP)の不撹乱試料を新たに採取し,一面せん断試験の圧密段階においてサクションを測定し,せん断強度に及ぼすサクションの影響について調べた. 平成15年度の実績 (1)昨年度までに得た成果を国際的な場で公表した(Skempton Memorial Symposium, March,2004).圧密降伏応力より大きな垂直応力で圧密したときのせん断強さ-垂直応力-間隙比の関係を基準として,圧密降伏応力より小さい垂直応力で圧密したときのせん断強度特性を評価したものである. (2)試料は本質的に不飽和であるので強度特性を評価するために新たな要因としてサクションを取り上げ,サクションを測定した一次元圧密試験を行った.その結果サクションは荷重が大きくなるにつれて減少し,圧密降伏応力を超えるとゼロになること,除荷してもサクションは回復しないことがわかった.さらに,垂直応力が同じであればせん断強さとせん断直前のサクションの関係は一義的になった.一方,せん断強さと含水比または間隙比との関係にはばらつきが見られた. 総括・今後の課題 火山性土のせん断強度特性は,とくに圧密降伏応力よりも低い垂直応力下ではサクションを考慮することが有効であり,恐らく不可欠であろう.この知見は火山性土以外の非堆積性土に対しても適用できると思われる.
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