研究概要 |
阪神大震災において,埋立地や沿岸部の構造物が基礎地盤の液状化により大きな被害受けた.大阪湾一帯の海底地盤は,Ma13層と呼ばれる沖積粘土層が厚く堆積しており,埋立地はその上に六甲山系のまさ土を盛り立てることにより造成された.この埋立まさ土が液状化を起したため,これまでにまさ土の液状化特性について多くの研究が行われてきた.しかしながら,その下部に厚く堆積する粘土層が地震波の伝播特性に大きく影響し,埋立地の液状化にも寄与したと考えられるが,これまでにその影響は知られていない,本研究では,地震時の地盤挙動を正確に再現するために,応答解析と土要素3連の単純せん断試験をコンピューターにより,リアルタイムで結合したオンライン地震応答実験装置を導入する.これにより,物理的性質及び剛性,圧密度の異なる粘性土を用いて,これまで未解明の以下の点について検討する. (1)粘性土層を含む成層地盤の応答特性を調べ,表層砂層の液状化に及ぼす影響を明らかにする. (2)粘性土地盤上に構造物が存在する場合を想定し,粘土要素に初期せん断応力を与え,地震時の残留変形や破壊について調べる. (3)これらの検討を塑性指数の異なる粘土あるいは中間土を用いて行い,物性の違いによる影響を明らかにする. この中で,平成13年度においては,特に以下の点に絞って検討を行った. ・繰返し単純せん断試験とオンライン応答解析モデルの作製 様々な物性を持つ粘土試料の作製と物性の評価,オンライン応答解析のための地盤モデルの作製を行い,繰返し単純せん断試験により,各試料の動的変形・強度特性を調べた. ・オンライン単純せん断試験による粘性土層を含む成層地盤の地震応答実験 現有のオンライン単純せん断試験機を用い,モデル化された粘性土層を解析層とした場合や粘土試料をオンライン層とした場合を考慮して地震応答実験を行った.これにより,上層の液状化層に与える粘性土地盤の影響を調べた.
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