1.試験 大型試験装置は直径約117.3cm、高さ36.3cmと100cmの鋼製2段円筒からなる。空気圧力とピストンシステムによって、ジオメンブレンと土層の間に有効応力をかけることができる。試験溶液として、毒性のない食塩水(濃度10g/L)を用いた。土層は2mmふるい通過分のまさ土を締固めたものである(透水係数3.57×10^<-8>m/s)。ジオメンブレンの損傷として中心に半径5mmの穴を開けた。浸透試験はまず、ジオメンブレン上に有効応力p=50kPaをかけ、水頭一定で試験を開始した。数日経過して漏水量が安定してから約1ヶ月測定を続けた。その後、ジオメンブレン上の圧力の影響を調べるために、有効応力を10kPaまで減少させ、試験再開後に漏水量が安定してから約1ヶ月間測定した。浸透試験後の土層を4層(各層の厚さは約9cm)に分け、1層につき17箇所ずつサンプルを採取し、それらの間隙水中の塩分濃度をイオンメーターで測定した。 2.試験結果 (1)漏水量について:ジオメンブレン上の圧力が増加すると、漏水量が減少していることが確認できる。既存の推定式で予測したものと実測値との比較により、ジオメンブレンと下の土層が完全に接触する仮定に基づく予測式は実験値より極めて小さな値を示した。不完全な接触の仮定に基づく予測式(Giroud 1997)は測定値に近い予測値を示した。しかし、ジオメンブレン上の圧力の影響を評価できない。 (2)濃度分布について:間隙水中のNaClの濃度分布により、汚染溶液は損傷部から鉛直方向だけに浸透するのではなく、ジオメンブレンと土層間の隙間にも浸透しているのが確認できる。 3.結論 ジオメンブレン上の載荷圧力の増加により、漏水量は減少する。また、漏水量の予測についてGiroudの式の適合性が高い。溶液は広い範囲に拡散しながら放射状に浸透し、ジオメンブレン土層間の隙間にも浸透する。
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