研究概要 |
ジオメンブレンと下の土層の間に有効応力をかけることができる大型試験装置(直径117.3cm、高さ136.3cm)を用いてジオメンブレンに損傷がある複合ライナーの漏水試験を行った。試験に用いた土は締固めし易いまさ土(透水係数3.57×10^<-8>m/s)と石子(透水係数1.2×10^<-8>m/s)であった。ジオメンブレンは厚さ1.5mmの高密度ポリエチレン(HDPE)であった。試験結果に基づいて、ジオメンブレンの損傷部に通じての漏水量と土層中の浸透メカニズムにおけるジオメンブレンの上覆応力の影響を検討した。試験及び解析結果から上覆応力の増加により漏水量が大きく減少することが分かった。この減少は主にジオメンブレンと下の土の間の浸透率(Transmissivity, T)の減少と考えている。実測値と既存予測式の計算値との比較によりジオメンブレンと下の土の間に完全な接触状態を仮定することが相応しくないことを明らかにした。Giroudら(1997)の不完全接触状態に基づく経験式はジオメンブレンの上覆応力が約10kPa以下の場合では適用できる。しかし、上覆応力の影響を考慮していないので、上覆応力が約10kPa以上の場合では適用できない。本研究では続けて試験データを蓄積して、上覆応力の影響が考慮できる予測式を提案したい。
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