研究概要 |
平成13年度は,薬液により固結した砂供試体の変形特性および浸透破壊に対する抵抗性の把握を中心に実験を行った.また,薬液固結体に対する均質化手法の適用,薬液固結体を含む飽和砂地盤の地震時,地震後の挙動を把握するための構成モデル,混合体理諭の適用に関する基本的な検討を行った.主要な結果は,以下の通りである. 薬液(シリカ)濃度を変化させた薬液固結体の変形・破壊性状に関する一面せん断試験を実施し,濃度が高くなるほど変形・強度に対する改良効果が大きく,低濃度では変形・破壊という力学的性状はそれほど変化しないことを明らかにした.また,固結体の改良効果を判定するために,一面せん断試験機を用いて実施することは,結果にばらつきが多く,改良効果を判断するのに必ずしも適していないという結果が得られた.断定的な結論を得るために,今後も継続実験が必要である. シリカ濃度が低く,変形性状の変わらない薬液固結体でも発生する変位が抑えられ,液状化抵抗性が増大することが知られており,そのメカニズムを理解するために,簡単な浸透破壊実験を低濃度固結体を対象に実施した.その結果,浸透破壊実験に対しては大きな抵抗性を示すことを明らかにした. 他に,注入工法において割裂を含む場合への浸透解析の応用に関する研究を行った.新しいポンプを用いた薬液注入実験により割裂が発生する限界注入速度実験を行い拘束圧依存性,密度依存性を行った. 極めて複雑な配置を持ち,シリカ濃度により変形・強度特性が大きく異なる薬液固結体に関する均質化手法の適用性について基本的な検討を行っている.また,薬液固結体を含む飽和砂地盤の液状化解析を実施するための混合体理論に関する基本的検討を,構成モデルの在り方を中心に行っている.
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