研究分担者 |
中沢 正利 東北学院大学, 工学部, 教授 (20198063)
山口 晶 東北学院大学, 工学部, 講師 (30337191)
京谷 孝史 東北大学, 工学研究科, 助教授 (00186347)
吉田 望 (株)応用地質, 地震防災センター, 主任研究員
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研究概要 |
薬液注入により固結した砂地盤が強震時の液状化に対して大きな抵抗を示すことはよく知られるようになってきており,実際に現場での応用が開始されている.しかし,薬液により固結した砂がなぜ液状化に対して大きな抵抗を示すのか,その力学的性質をどのように記述すればよいのか,地盤の震動解析時にどのように組み込めばよいのかなどの基本的事項は解決されていない.このような事項の解明を目的として研究を行っている.研究期間における主要な結果は以下の通りである. (1)薬液濃度を変えた供試体に対して,繰り返し3軸試験による液状化試験を実施した.3%程度の濃度の薬液を利用した場合,ダイレイタンシー特性が薬液固結体では変化し,そのために液状化抵抗が増加することがわかった.さらに低濃度の場合には,供試体の自立が困難であり,有意な結果を得るには至らなかった. (2)低濃度の薬液の場合には,力学的挙動の改良というよりも,透水性の低下により,間隙水の流動に起因するカタストロフィックな破壊が生じないため,液状化強度が上昇するという考えの元に,クイックサンド試験を行い,低濃度であっても,間隙水の流れに対する抵抗が大きく上昇することを確認した. (3)現行の暫定的基準は,一軸圧縮強度を中心に考えているために,薬液固結体ではこの基準を満足できない場合が多い(高濃度の場合は不経済となる).このため,強度の条件を満足するセメント溶液の注入実験を行い,脈動を与えた注入の有効性を確認した. (4)薬液固結体は極めて複雑な配置を有する材料であるために,従来の均質化手法ではそのマクロ的性質をミクロの性質から求めることはかなり難しい.このため,どのようにして均質化手法を適用するかについての基本的な考察を行った.薬液固結体の構成モデルの定式化については,研究途中であり,具体的な定式化には至っていない. (5)液状化被害は,間隙水圧の上昇だけでは大きな被害とはならない.このために流動特性を考慮できる構成モデルの開発を行った。間隙水の流入に伴い間隙比が増大し,ダイレイタンシー特性が劣化するモデルを開発した. これらの成果を,業績報告書として取りまとめた.
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