研究概要 |
盛土など飽和砂地盤上の土構造物の地震時沈下性状の解明を目的として,遠心力場震動実験及び非排水繰返しねじりせん断試験を実施した。遠心力場震動実験では,剛な矩形土槽内に飽和水平基礎地盤-盛土模型を作成し,50g遠心加速度場において周波数50Hz,波数20波の規則波入力による水平振動載荷を行った。実験は基礎地盤密度及び入力加速度振幅を変化させて計4ケース実施した。緩詰め,入力加速度振幅大のケースでは,盛土中心線上の地盤深部・中部における過剰間隙圧が振動載荷初期より急激に上昇したのに対応して,地盤及び盛土における加速度振幅が入力振幅に対し減衰し,地盤の軟化が認められた。一方地盤浅部における過剰間隙圧応答に着目すると,盛土斜面下では振動初期より蓄積傾向を示し側方地盤が軟化傾向にあるのに対し,盛土中央下では負の過剰間隙圧を示した。振動載荷前後における模型形状より基礎地盤各層の盛土中心線上における鉛直圧縮ひずみを読み取ったところ,入力加速度振幅が大きいケースにおいて,基礎地盤最表層に比べ第2層の方が大きく圧縮した。これらの地盤挙動と飽和砂の繰返し変形性状との対応を検討するために,異方圧密状態からの非排水繰返しねじりせん断試験を実施した。緩詰め供試体の初期平均拘束圧98kPa,圧密応力比0.5,繰返しせん断応力振幅20kPaの試験において,せん断ひずみ速度が小さくせん断1波目途中で一旦軟化挙動を示した後,有効拘束圧70kPa程度でせん断応力変化に伴う有効拘束圧の変動が鈍化し変相状態に達した。このとき軸変位挙動に着目すると,軟化以降初期液状化に至っていない状態で鉛直ひずみが急激に蓄積した。以上より,初期せん断状態にある盛土直下地盤要素の揺れ込みせん断変形が,盛土沈下の主要因であるとの見解を得た。
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