研究概要 |
防波堤や河川堤防盛土などの直下地盤では、鉛直応力が水平応力に対し卓越する異方圧密状態にあり、このような地盤に地震による繰り返しせん断応力が作用すると、地盤は初期液状化には達しない状態で鉛直方向に圧縮、水平方向に伸張する非排水揺れ込みせん断変形を生じる。線形弾性有限要素解析によると混成堤直下地盤は著しい異方圧密状況にあり、地震による繰り返し載荷の初期段階で変相状態に到達することが予想される。この場合、液状化に至る過程の説明に重点を置いた構成式やパラメータ選定といった既往スキームでなく、変相後の変形挙動に焦点をあてた構成式やパラメータ選択法を構築する必要がある。本研究本年度は、非排水繰り返しねじりせん断試験を実施し、このような飽和砂の繰り返し変形特性について検討を加えた。試験では硅砂7号(土粒子密度2.584g/cm3,平均粒径0.1mm,最大間隙比1.148,最小間隙比0.697)のゆる詰め供試体(間隙比0.985〜1.054)を空中落下法により作成、平均圧密圧力1kg/cmとし、圧密応力比(=側圧/軸圧)1.0,0.7,0.5,0.4、および繰り返しせん断応力振幅0.1,0.15,0.2kg/cm2を変化させて実験し、以下の結果を得た。 1.異方圧密試料の場合、繰り返しせん断に伴い過剰間隙圧は蓄積するが、初期圧密圧力に達しない状況で収束する。圧密応力比が大きいほど過剰間隙圧の収束値は大きくなる。 2.等方、異方圧密試料とも、応力経路が変相線に到達する段階で、せん断ひずみ振幅および鉛直ひずみが急激に増大した。変相後、せん断応力振幅および鉛直ひずみは繰り返しせん断とともに概ね増大するものの、増大傾向は繰り返し回数とともに緩慢となる。また圧密応力比が大きいほど変相状態での平均有効応力が小さく、せん断ひずみや軸ひずみが大きく発生する。
|