研究概要 |
1.崩壊履歴のある酸性切土法面で「簡易動的コーン貫入試験」を実施して貫入抵抗N_d値≧50の基盤の深度範囲を調査した結果,8ヶ月間でおよそ2m深部へ移行(2001年7月と2000年11月との比較)していることが判明した。さらに,当該法面で採取した12mの深さでのボーリングコアを10cmごとに切断してこれらの物理的,化学的性質を調べたところ,厚さ数10cmの層理面が4つ含まれており,そのうちの2つの層理面が崩壊時のすべり面に一致していることを確認した。 2.一般に,酸性泥岩は掘削後急速に風化が進行して,予知・予測の困難な斜面崩壊にいたっている。そこで,上記1の結果をより生化学的な見地から探究する目的で,初めに酸性泥岩を特徴づけるパイライト含有量の測定方法を検討,これを確立した。次に,風化の過程にある酸性泥岩の特性を,密封状態で破砕試料を浸漬した水中の溶存酸素消費量と浸出水のpH,硫酸イオン濃度,鉄イオン濃度,パイライト含有量との関係を調べることで明らかにした。 3.酸性発生土の土性(主としてpH)を改善して盛土,道路路床や造成基礎などの土構造物に活用することを目的として,(1)石川県河北郡津幡町で採取したpH=2.5〜3.0の土の物理的性質(土粒子の密度,液性限界,塑性限界,粒度組成),締固め特性,CBRおよび化学的性質(成分組成,有機物含有量,強熱減量)を調べた。 (2)石川県鹿島郡中島町産養殖真牡蠣の殻の焼成,水和により得た水酸化カルシウムのX線回折パターンおよび化学成分組成を調べて,品質的には市販の工業用消石灰と比べてもとくに遜色のないことを確かめた。 (3)「酸性土単体の一軸圧縮強さ」と「牡蠣殻消石灰を添加した酸性土の一軸圧縮強さ」とを比較して,牡蠣殻消石灰は固化助材として利用可能であることを確認した。
|