研究概要 |
1.能登半島七尾湾産養殖真牡蠣の殻を1000℃で約60分間焼却,焼成した酸化カルシウム100gあたり65〜70mlの蒸留水を注いで得た水酸化カルシウムの化学成分組成,X線回折パターンを調べた上で,この牡蠣殻由来消石灰と市販の工業用消石灰1号を個別に有機物含有量>10%の粘性土に添加,締固めて作製した円柱供試体(直径約50mm,高さ約100mm)の空気中養生最長180日および水浸養生最長56日の一軸圧縮強さquを求めて比較したところ,強度発現性や耐水性に消石灰の種類による差は全く認められなかった.このことから,牡蠣殻由来消石灰の効用は市販品と同等との知見を得た. 2.顕在的酸性土の安定処理効果を調べるために,道路斜面で採取した細粒分質砂(pH>6)と約2週間の空気乾燥後にpH<3の強酸性へ移行した粘土に個別にセメント系固化材,工業用消石灰1号を添加したときのCBRおよび一軸圧縮強さquを求めた.その結果,安定材の種類や添加率が同じであっても酸性土のCBRは細粒分質砂の1/2〜1/4,quは1/10〜1/20であり,改良対象土のpHが安定処理後の支持力増分や強度発現におよぼす影響は極めて大きいことが確認された. 3.地山の酸性堆積軟岩の中に存在する硫黄酸化細菌および鉄酸化細菌を室内で単離,培養した菌群を用いてパイライトの風化過程を追跡した.具体的には間隙水の酸素消費,pHや硫酸イオン濃度の変化を測定,これらを指標に風化速度の決定因子である温度^<1)>の影響度を「生化学的反応速度定数」を求めることにより評価した. 1)昨年度の研究において,酸性堆積軟岩は溶存酸素を含む水との接触部分で反応が速やかに進行し,pH≧6ではパイライト含有率が高く,その消費にともなってpHが低下して硫酸イオンを生成すること,さらに,反応速度は温度が高くなるほど大きくなることを確認している.
|