研究概要 |
1.粉砕した牡蠣殻(径2〜0.85mm,0.85〜0.25mm,0.25-0mmの3種)を酸性硫酸塩土(pH≒3)に混ぜてから突固めるまでの時間間隔が異なっても,締固め曲線の形状および最適含水比,最大乾燥密度はほとんど変わらないことがわかった.同様に,殻の径が締固め特性におよぼす影響も認められなかった. 2.酸性硫酸塩土単体に工業用消石灰とセメント系固化材とを個別に添加したときのCBRは前者の安定材を用いる方が大きくなるものの,土に粉砕殻を混入すると安定材の種類にかかわらずCBRはほぼ同じ大きさとなることが判明した. 3.化学的な実験において,黄鉄鉱(パイライト)含有量が酸性硫酸塩土の潜在的酸化ポテンシャルを推定する因子となり,また,間隙水の硫酸イオンが土のpHを決定する因子となることが確かめられた. 4.生化学的な実験において,滅菌試料と非滅菌試料のpH,硫酸イオンの濃度変化を比較したところ,黄鉄鉱の酸化過程には硫黄酸化菌よりも鉄酸化菌の方が深い関連をもっていること,さらに,このような生化学的な酸化を早期に完了させるための最適pHは2.5〜3.5であることが明らかとなった. 5.ボーリングコアの土質試験や簡易動的コーン貫入試験の結果から判断して,掘削などによって露出し,酸化の進行する切土斜面は土粒子間の固結力が低下することで崩壊を生じる恐れがあり,勾配緩和の策を講じるとともに牡蠣殻由来の炭酸カルシウムや水酸化カルシウムを散布,混合して中和を図る必要がある.
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