研究概要 |
浚渫土の再利用法の一つである発泡固化俊喋土は従来のセメント処理土よりも軽量であるため,港湾工事等での利用が検討されている。しかし,高いアルカリ性を示すなど実用化にはいくつかの問題点がある。今年度の研究では,固化助材としての石炭灰の有効性,二酸化炭素による中性化および打設されたセメント処理土の強度特性調査に関する基磁的な研究を行った。 まず,浚渫土やヘドロのような高含水比粘性土を効果的にセメント固化処理をするため,石炭灰を固化助材として混合した際の一軸圧縮強さ特性をもとにその有効性について検討した。その結果,エトリンガイトとCSH系の反応物がセメント処理土の強度増加に貢献することを明らかにし,その生成に必要なSO_3やCaOを多く含有する石炭灰は固化助材として有用であることがわかった。 次に,二酸化炭素による高アルカリの中性化挙動を検討するため,カオリン粘土とセメントを高含水比で練返した疑似俊喋土の中性化挙動について検討した。その結果,密閉可能な容器内に二酸化炭素を通気しながら撹拌を行うことにより,短期間で効率的に中性化できることがわかった。 そして,打設された浚渫土の強度特性を調べる手法として比抵抗高密度電気探査法を適用することについても研究を行った。豊浦標準砂で作成した模型地盤に水ガラスを固化材として浸透させ,その固化領域の抵抗値を測定した。比抵抗値は原地盤よりも変化するもののあまり明確な比抵抗値の変化は見られなかったが,比抵抗値変化率を用いることによって改良効果はある程度判定できることがわかった。また別途,固化体の一軸圧縮試験を行い,比抵抗値と一軸圧縮強さ関係を求め,比抵抗値変化率と強度特性についても検討した。
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