水膜の自励振動に関する物理的要因を調べるため、水膜上の波動を高速ビデオにより可視化し伝播する波動の波速を画像処理により求めた。また、水膜内の流速をトレーサー(紙片)を追跡することにより同時に計測し、波速および流速の関係を調べた。水膜変位の運動方程式の数値解析から空気中を伝播する圧力により波速が落下方向に変調することが予測されたが、これは実験により確認された。したがって、水膜の自励振動には空気を通した圧力の伝播も関与することが示唆された。 さらに、水膜上に与えた微小擾乱が落下に伴って成長し水膜の破れを引き起こす過程をとらえた。空気の影響は、水膜と空気の相対速度が大きくなった時点で顕著に現れ、水膜上に擾乱があると空気抵抗が増大し水粒子は急激に減速することが判明した。 一方、水膜の運動に対して長波近似を適用し、空気流のせん断不安定性を安定性理論により調べた。その結果、自由落下水膜が誘起する空気の吸い込み流れは極めて安定であり、水膜に破れがなければ空気流は不安定とならないことが判明した。
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