今年度は、藻類に関係するクロロフィルやpH、DO、塩分濃度などの水質の時間変動特性並びに空間特性を把握するため、マルチ水質モニタリングシステム及びクロロテックを導入した。前者のセンサでは、10個の水質項目(pH、DO、導電率、塩分、全溶存固形物量、海水比重、温度、濁度、水深、酸化還元電位)を、後者では水温・濁度・クロロフィルを測定した。時間変動特性把握のため、佐賀大学農学部有明海観測塔を利用し、上記のセンサを設置して各季節の水質変動について自動観測を行った。さらに、人工衛星ランドサットが飛来してくる日時に合わせて佐賀県浅海定線調査地点(11地点)と同一地点を船で移動し、上記センサを用いた水質観測・採水も実施した。採水した海水よりクロロフィルaの計測も実施し、さらに何回かの観測では佐賀県水産振興センターへも海水サンプルを渡してクロロフィルaの計測を依頼することで計測精度に万全を期した。船による移動の際には、緯度・経度の位置合わせにGPS装置とナビゲーションシステムを導入した。現地調査は、第1回(平成13年6月8日)より第11回(平成14年3月13日)まで行い、13年度の各季節をほぼ網羅する観測資料を作成することができた。現地水質調査結果並びに過去の浅海定線調査と赤潮対策調査結果のデータを用いて、衛星画像より水質(透明度、水温、塩分濃度、プランクトン量、クロロフィルa)の推定を行うアルゴリズムを開発し、ある程度の精度で有明海の水質を推定することが可能となった。
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