| 研究概要 |
日本列島周辺の海水流動場を支配する黒潮や親潮等の海流は,直径数百km程度の「中規模渦」により特徴付けられており,それが沿岸環境に多大な影響があることが指摘されているものの,その実態などは不明な点が多い.それに対して,研究代表者は,海洋気象衛星NOAA搭載の可視赤外AVHRRデータを直接受信し,そのデータに基づいて広域海洋乱流場の海面水温分布や海面流速パターンを直接計測し,海流パターンや中規模渦の動態,それらが沿岸環境に及ぼす影響に関する貴重な知見を蓄積しつつある.本研究では,上述した研究をさらに発展させた形として,海流や中規模渦影響をモニタリングすると共に,それらの影響を合理的に取り入れた沿岸海域評価手法を確立することを目的とする.具体的な内容は以下のとおりである.
<(1)NOAA/AVHRRデータ解析に基づく海洋乱流場の直接モニタリング:>___-現有の直接受信設備とネットワーク経由により日本列島周辺海域および湾流域のNOAA/AVHRR高解像度HRPTデータを蓄積する.さらに,そのNOAA/AVHRRデータと現有の衛星データ処理解析システムを用いて,海洋乱流場の中規模渦に関する流れの可視化とSeaMark追跡法による瞬間乱流場計測を行う.
<(2)衛星画像データ解析システムの高効率化及びデータベース化:>___-上述したNOAA/AVHRRデータの解析手法を効率化するためにソフト・ハード面上の改良を行う.ここで得られる海面水温分布や海面流速ベクトルに加えて,可視化画像,K-Uダイヤグラム(串本-浦神潮位差時系列およびそのwavelet変換データ)および天気図・海洋速報などをデータベースとして統合化し,wwwサーバーにおいて公開するとともに,海洋乱流構造特性に関する定量的解析を実施する.
<(3)海水流動計算におけるネスティング手法の適用性・高精度化:>___-上述した海流・中規模渦に関するモニタリング結果を沿岸海域における流動シミュレーションに合理的に反映するために,ネスティング手法を組み込んだ沿岸海水流動計算法を開発・高度化する.
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