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2001 年度 実績報告書

河川の減水区間における流れの連続性と魚類生息場の劣化・回復過程に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 13650576
研究機関岐阜工業高等専門学校

研究代表者

和田 清  岐阜工業高等専門学校, 環境都市工学科, 助教授 (50191820)

研究分担者 小出水 規行  独立行政法人農業工学研究所, 農村環境部生態工学研究室, 研究員 (60301222)
キーワード河川の減水区間 / 魚類生息場評価 / PHABSIM / 正常流量 / 河道の陸地化 / 瀬と淵
研究概要

ダムの未放流や液漑期には,間欠的にしか水が流れない減水区間となり,いわゆる「瀬切れ」や「水涸れ」が発生する.本研究は,魚類にとって生活史のボトルネックとなる減水区間の影響を,流況・河床形態・水温・植生の被覆状況などの観点から評価しようとするものである.対象河川は根尾川(岐阜県,揖斐川水系)である.
(1)減水区間を含めた魚類生息場のマクロ的な河道特性:対象河川における航空写真(1959〜1997年)を収集し,河川改修の進捗に伴う治水安全度や平水時の澪筋,瀬と淵の形成過程の評価を行なった.その結果,床固め工が設置される以前には,河道に交互砂州が発達し,洪水頻度の低下によって「河道の陸地化」が発生していること,設置後は,流路が安定化される一方,魚類の生息場として重要な微地形(瀬と淵や砂州形態)は絶えず変動していることが確認された.
(2)熱環境特性からみた魚類生息場の劣化・回復過程:根尾川の山口頭首口から揖斐川合流部に至る区間で,流水部や湛水域の夏季水温状況を把握するために,水温データロガーを多数設置した.降水量・流量データも収集した.その結果,無降雨期間が長い場合や降水が少ない場合に減水区間が発生し,局所的に「水涸れ」が1週間程度生じることが確認された.さらに,晴天時の水温の空間分布では,河川構造物の多い上流部では,渇水と砂礫やコンクリートの蓄熱効果によって水温が上昇しやすく,河畔林や淵の多い下流部では,水温は冷却・平滑化される傾向にある.降水後徐々に減水区間が減少し,床固め工の直下などの場所に限定されるまでに回復する.
(3)減水区間における魚類生息場の特性の抽出:減水区間には「水涸れ」が発生し,これを利用した漁法が地元では行なわれている.漁業協同組合のヒアリングから,発生場所はほぼ固定化されており,その周辺の地形測量を行なった.その結果,最深河床部に沿って温かい湛水域が生じ,アユやオイカワが集積する,また,孤立した凹地には魚類の残骸が密集し,急激な減水と地下浸透によって河床が乾燥化する.このように,減水区間の特性は平常流水時と全く異なっており,河床地形と河床材料に加えて,伏流水や地下水位の情報が必要であることが指摘された.

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] 和田 清, 今村和志: "河川環境に配慮した舟通し魚道の機能"Journal of Eco-technology Research(エコテクノロジー研究),第8回エコテクノロジーに関するアジア国際会議シンポジウム. Vol.7,No.2. 236-237 (2001)

  • [文献書誌] 和田 清: "キノンプロファイル法を用いた長良川河口堰周辺の微生物相の変動特性"Journal of Eco-technology Research(エコテクノロジー研究),第8回エコテクノロジーに関するアジア国際会議シンポジウム. Vol.7,No.2. 164-165 (2001)

  • [文献書誌] 横幕 奈津子: "根尾川の減水区間における魚類生息場の劣化と回復過程に関する研究"岐阜工業高等専門学校環境都市工学科・卒業諭文. Vol.35. 1-85 (2002)

  • [文献書誌] 和田 清, 川合 茂ほか: "環境・都市システム系教科書シリーズ「河川工学」 ISBN4-339-05506-9"株式会社コロナ社. 193 (2002)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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