研究分担者 |
大橋 忠宏 弘前大学, 人文学部, 助教授 (70312478)
福山 敬 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 助教授 (30273882)
佐々木 公明 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (10007148)
芥川 一則 福島工業高等専門学校, コミュニケーション情報学科, 助教授 (40310990)
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研究概要 |
本研究は空間計画の文脈で,政策のグローバルな効果とローカルな効果が相反する問題を包括的に研究することを目的としている。主要な課題としては,公共施設立地問題と国土の適正利用の2点に重点を置いて研究を進めて来た。本年度は加えて新規課題である空港の効率的立地問題を含めて研究を進めた。 (1)公共施設立地問題:14年度にNIMBY施設を個別供給する場合について,最適モデルの定式化と数値分析を行ったが,本年度は福島県におけるゴミ処理施設の空間配置について,メッシュデータを用いて実証分析を行った。全国的に一部事務組合による共同処理が主流となっているが,処理区域内に複数の処理施設が存在する場合は,区域をVoronoi的に分割した上で,実際の立地点の人口分布に基づく輸送費最小点からの偏奇や,輸送費の比率から嫌悪度の数量化と立地の効率性検定を試みた。(2)過密・過疎問題:本年度は,従来の国土軸上に配置された都市群の消長に関する問題を抽象化し,地域内人口分布が生産性に外部性を与える2地域モデルを定式化した。均衡解の定性的性質を代数的に得ることは困難であるが,数値解析によって幾つかの興味深い結果を得た。具体的には都市間・都市内の2種類の輸送パラメータの変化に依る都市間・都市内の人口分布の変化を検討し,マクロ的な均衡がミクロ的な不均衡をもたらす「開発の2層性」の可能性を示したが,その結果について国際地域学会第50回北米大会で発表した。(3)空港の効率的立地:国内空間を無視し得る遠・近2外国と線分上に人口が分布する自国からなるモデルを用いて,自国空港の空間配置に関する定性的分析を行った。密度経済性の観点から航空需要の集約が重要であるが,複数空港は空港当たりの便数減を通じて期待待ち時間を増加させるため,個人のアクセス時間の減少を目指して複数空港を置くことが必ずしも社会的余剰の増加に繋がらないなど,数値解析の範囲で,ローカルな整備がグローバル戦略と相反する結果をもたらすことを示した。
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