1.交通モードの心理的優先順位を、過去の調査データを活用して明らかにした。 (1)道路通行帯の利用区分に着目して交通モードの心理的相性を分析した結果、分類の難しい境界上の交通手段があることがわかった。まず自転車と電動三輪車であり、次に原動機付自転車と一人乗り用超小型自動車である。 (2)すれ違いの分析結果から、歩道系交通モードの交通優先順位は、車いす、杖をつく高齢者、電動三輪車、高齢者自転車、ベビーカー親子、子供、元気な成人、成人自転車となった。全体的に見ると、高齢者優先という意識は十分持っていること、この高齢者優先原則は電動三輪車や自転車等交通手段利用者にも反映されていることがわかった。 2.上記心理的優先順位を踏まえた上で、昨年開発した共存性分析ツールを用いて、共存性の論点に対する対応策を検討した。地区交通の分野で特に重要な課題となっている従来型原付より未満の交通手段の共存条件を探った結果、以下の知見が得られた。 (1)歩行者系と自動車系の二分割道路の場合には、自転車は歩行系交通手段として位置づけ、歩道寄りに通行帯を確保し、歩行者に脅威を与えない低速走行とする。また電動四輪車もこの通行帯の走行を認める。 (2)歩行系・自転車系・自動車系の三分割道路の場合には、自転車道を中速度帯と位置づけ、現状より高速化した電動四輪車と、小型化低速化した電動原付(最近市販された)は自転車道に配置する。 3.上記対応策に対する意識調査を実施し、対応策に対する人々の受容性を検討した。自転車道に高速化した電動四輪車を配置することには賛成者が多く、小型低速化した電動原付の配置には反対者が多かった。今後は、得られた人々の交通モード優先意識と共存条件をベースに、現実的な合意形成を図ることが課題である。
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