研究概要 |
感度分析とは,モデルのパラメータを変化させたとき,モデルのアウトプットがどのように変化するのかを求める手法である。経済学では比較静学分析として知られているものであり,数学的には包絡線定理であり,モデルを構成する変数をパラメータの微小変化量の関数として定義することで代数的に表現できる。CGEモデルで感度分析を行うには,従来の比較静学分析とは異なり,次の2つの問題を解決する必要がある。 1)代数的アプローチでは微小変化を仮定することができる,しかし,実際のCGEモデルではどの程度が微小変化なのかは定かではない。数値解析を行うためには,変数の正規化が必要である。 2)n個の決定変数をもつ非線形感度分析を行うには,次に示す独立したn個の非線形最適化問題を解く必要がある。すなわち,Zをn次元変数ベクトル,tをm次元パラメータベクトルとおくとき,max_<z, t>Z_i s.t.F(z; t)=0 t=t^^- 本研究では,2部門2要素モデルとして知られるHarbergerモデルを例題に,まず,代数的なアプロ-チで感度分析を行った。次に,これを相補性問題として定式化し数値的な感度分析を行い,解析結果との比較を行った。最後に,大規模な変数をもつCGEモデルの感度分析を行うため,2)のアプローチを用いて数値解を求める方法を検討しその有効性を確認した
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