13年度の研究実績は以下のようになる。 1)自動車走行経路と交通行動のアンケートの実施 本研究においては集中豪雨下の自動車走行経路と交通行動に関するアンケート調査が最も重要となる。このアンケートは、被験者の記憶が確かな期間内に速やかに実施する必要があったが、本研究では集中豪雨直後に実施したほか、その補完調査として2回にわたるアンケート調査を追加実施し、広範囲な交通データの入手ができた。また、調査内容は、個人属性、帰宅出発時刻、到着時刻、自動車走行経路、走行目的、高速利用の有無、冠水状況、車の種類、公共交通利用状況など、となっており、交通行動と自動車経路の分析という点では十分対応できるものと思われる。 2)調査データの集計と解析 今回の調査・分析により、集中豪雨が都市部や都市周辺部の交通網に多大な影響を与えたことを改めて明らかにでき、また走行断念・道路冠水マップを作成することができた。具体的には、時間雨量93mmの豪雨状態では自動車で1kmあたり平均10分かかったこと、浸水被害地域へ向かった人は1kmあたり3時間かかった例もあること、および向かう方面の浸水特性などを考慮して行動する必要があることがわかった。また時間雨量が50mm以上となるような状況では道路上の各所で冠水が生じ、道路走行不能個所が急増するものの、降雨量が30mm以下となった10時以降は多くの地点で走行状況が改善されたことが分かった。よって、同規模の集中豪雨が生じた場合、慌てずに行動し降雨情報等を十分に考慮すれば混乱をある程度避けることができるものと考えられる。今後は、降雨量の変化と道路冠水状況の変化の関係を考慮して道路交通状況の分析を更に詳細に行っていくものとする。
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