研究概要 |
本研究の研究実績の概要は以下のようである。 1)3度にわたるアンケート調査の実施と調査データの集計と分析 アンケートは集中豪雨直後に既に実施したが、交通情報等のデータの追加や広域的交通状況の把握を目的として新たにアンケートを実施した。アンケートデータの一次集計については、帰宅出発時刻や到着時刻、公共交通利用状況、交通情報の利用状況、渋滞状況等が明らかとなった。ここでは自動車交通だけでなく公共交通利用の方も所要時間が普段の2倍から3倍以上になっており、集中豪雨の影響が名古屋市域全域の交通網に及んだことが分かった。走行経路記入部分については当初予定では迂回経路と所要時間を分析することとした。迂回経路についてはかなり大きく迂回したり、あちこちにある冠水通行止め区間を避けて曲がりくねりながら走行するケースや冠水の渋滞に会い、前にも後ろにも進むことができず、3時間以上に渡って立ち往生をしているケースなど様々なケースが確認された。走行所要時間については、特に豪雨直後の18時、19時台に出発したドライバーの渋滞所要時間が著しく長くなっていること、豪雨が50mm以下となった10時以降では徐々に渋滞が解消されてきたこと、しかしながら、浸水被害地域へ向かったドライバーは、10時以降でも所要時間が5時間を超えるものも少なくなく、さらにひどい渋滞に巻き込まれていたこと等が明らかとなった。 また、地理情報システムに走行断念地点を入力することによって、ビジュアルに、走行断念地点マップを作成することができた。また、OD間所要時間の推計モデルを構築するとともに、走行経路の速度別ビジュアルマップを作成できた。 2)集中豪雨下における交通行動意識と交通対策の検討 豪雨下における自動車走行体験者の交通行動や交通対策に対する意識を、豪雨走行体験者調査を新たに行うことで分析した。この結果、豪雨時に期待される情報提供内容は、交通状況を推測する上で必要な「通行止め情報」や「天気・降水量予報」が最も重用視されている。これらの情報媒体は、手軽で確実性が高いラジオからの情報入手を望んでいることがわかった。一方,ハード面での具体的な交通対策としては、「冠水しやすい交差点の手前でUターン可能な設備を整備すること」が、特に長時間走行を強いられたドライバーから重要視された。
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