研究概要 |
研究初年度の平成13年度においては,以下の2点について研究を行った. (1)所要時間の変動を考慮した確率論的配車配送計画のモデル化 都市内の道路においては、交通事故・工事等のために所要時間は、常に変動している。高度道路交通システム(ITS)を活用して,そのような所要時間の変動分布に関する履歴データが得られたと想定し,所要時間の変動分布を確率論的に考慮した、都市内集配トラックの配車配送計画モデルを構築した。このモデルにおいては、各リンクの所要時間分布を与えて、トラックの各顧客への到着時間分布を推定し、それと各顧客の指定時間ウィンドウに早着・遅刻した場合のペナルティ関数を掛け合わせて、早着・遅刻のペナルティを推定している。集配トラックの固定費、運行費、遅刻・早着のペナルティの和を最小にするような定式化を行った。このような確率論的配車配送計画モデルと、動的交通シミュレーションを組み合わせて全体のモデルを構築した。 (2)ヒューリスティクス手法を用いた確率論的配車配送計画モデルの解法の開発 上記の、トラックの積載量に制限がある場合の、タイムウィンドウ付き確率論的配車配送計画モデルは、NP-ハードな大規模な組み合わせ最適化問題となるので、厳密な最適出発時刻および経路を求めることが困難である。そこで、ヒューリスティックス手法の1つである遺伝的アルゴリズムによって、近似解を短時間で求める方法を開発した。ここで開発したモデルを仮想道路ネットワークに適用し,総費用を最小化するような確率論的配車配送計画を実行した場合に,物流総費用が削減されるとともに,CO_2排出量も削減されることを確認した.従って,確率論的配車配送計画は,効率的かつ環境に優しい都市内物流システムを構築するための有力な方法であると考えられる.
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