研究課題/領域番号 |
13650589
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
秋山 哲男 東京都立大学, 大学院・都市科学研究科, 教授 (10094252)
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研究分担者 |
澤田 大輔 交通エコロジー, モビリティ財団, 研究員
高橋 万由美 宇都宮大学, 教育学部・生涯教育課程, 講師 (70308104)
藤井 直人 神奈川県リハビリテーション病院, 研究部, 主任研究員
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キーワード | 英国 / スペシャルトランスポート / フレックスルート / 米国 / スウェーデン / カナダ |
研究概要 |
高齢者・障害者のモビリティと交通に関する政策研究は、極めて取り扱いにくいこともあって必ずしも十分な研究がなされているとはいえない。本研究では、英国、スウェーデン、米国、カナダ、日本などを研究対象として、運輸系、福祉系に分けてヒアリング調査を行い、特定の都市(ロンドン、ストックホルムなど)を重点的に調査を行ってきた。その結果分かったことは以下の通りである。 英国の対策は極めて興味深く、STサービスにおいては公的機関とNPO(ボランティア)のバランスのとれた結果としての協働が成立しているように考えられる。これとは逆に公的機関中心で何十年も進めているスウェーデンでは、それなりに頑張っており、現象としては成功しているかに見えるが、ボランティアを排除したことの重荷は大きい。そのためにSTサービスの需要をいかに減らすかということに20年程苦労を続けてきている。米国は「障害を持つアメリカ国民法(1990年)」にみられるように人権を前面に出して展開する国である。おそらく英国やスウェーデン程きめ細かさはないからSTサービスの対策をかなり頑張っている国である。カナダはこの米国と類似した展開をしつつも、カナダの独自の展開(医療系交通の充足)も実施している。 以上の主要国の展開に対して、わが国は運輸系においてはNPO(ボランティア)が運賃を収受できるように道路運送法80条の変更を実施しようとしている。また厚生系では高齢者の介護保険に拘わる移送サービスや障害者の支援費については今後の議論に委ねられている。何れにしても30年前の英国やスウェーデンの姿が今日の日本のようにも思える。欧米の先例を見てわが国も確かな第一歩を大きく踏み出して欲しいものである。おそらく5年先には欧米との差が相当縮まっていると考えられる。
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