1.国の方針 国土地理院では2001年にRTK-GPSを公共測量に用いることを公認し(RTK-GPSを利用する公共測量作業マニュアル発行)、2002年5月から一部の電子基準点リアルタイムデータの民間開放もおこなっている。これに伴い、VRS(仮想基準点方式)技術の構築など、広範囲におけるRTK-GPS測位を行うための環境も整備されてきている。 2.リアルタイムGISの提唱 我々は高精度で即時性のあるRTK-GPSを用いて即時にGISの電子地図に反映させる技術をこの研究テーマで提案している(従来のGISと区別するため、我々はこれを「リアルタイムGIS」と定義した)。これらの技術の活用により、大縮尺電子地図の更新作業が格段に改善されることが期待できる。 3.本年度の成果 自治体では公共工事や地籍調査のためにさまざまな測量を行い、独自の基準点を設け、基本図・主題図といった電子地図を作製し利用しているが、このような「公共測量」の過去の成果も平成14年4月1日の測量法の改正に伴い、世界測地系へ切り替えていく必要が生じてきた。現在、世界測地系へ移行するための変換プログラム等も公開されているが、旧座標系(日本測地系)で作成されている基本図や主題図等の大縮尺(1/500レベル)に適応可能な程度の精度が得られないのが現状である。このため、RTK-GPSの測位結果を即時に自治体の保有する大縮尺電子地図に反映するためには、GPS測位データと地図データ上の座標の整合性が問題となってくる。 そこで本年度は、RTK-GPSを用いた「リアルタイムGIS」の実現について実証実験を実施すると共に、GPS測位データと自治体が保有する大縮尺電子地図を正確に重ね合わせる座標の変換方法について検証をおこなった。実験は即時性の問われる施設管理部門を例としてリアルタイムGISモデル実験を行い、更新手順についてのモデルを提案し、導入した際の費用軽減効果について学会および論文などで報告した。
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