嫌気性消化、好気性消化の両方の長所を引き出し、短所を減らした汚泥処理法を開発するために、嫌気性消化とBacillus属細菌を多く含むコンポストを種汚泥にした好気性消化を組み合わせ、実験をおこなった。 まず前段に好気性消化、後段に嫌気性消化をおくプロセス(好気・嫌気複合消化プロセス)と前段に嫌気性消化、後段に好気性消化をおくプロセス(嫌気・好気複合消化プロセス)の汚泥処理性能を比較した。つぎに嫌気・好気複合消化プロセスにおける好気性消化段階の消化温度が処理効率にどのような影響を及ぼすかについて調べた。すなわち嫌気性消化汚泥に、コンポストを種汚泥として投入し、消化温度(20℃、30℃、50℃)で好気性消化をおこなった。さいごに様々な基質で好気性消化をおこない、それぞれの好気性消化槽内に枯草菌(代表的なBacillus属細菌の一種)が存在するかを、FISH(fluorescent in situ hybridization)法により調べた。 以上の実験を通じて得られた結論は、以下のとおりである。 ・好気・嫌気複合消化プロセスに較べ、嫌気・好気複合消化プロセスのほうが、安定した処理が可能であった。 ・嫌気・好気複合消化プロセスにおける好気性消化での最大VSS分解率は20℃では52%、30℃では52%および42%、50℃では61%であった。さらに嫌気・好気複合消化プロセスを通してのトータルのVSS分解率は、いずれも80%以上であった。なお硝化は30℃以外の運転では、ほとんどおこらなかった。 ・嫌気・好気複合消化プロセスにおける好気性消化では3日目までの最大VSS分解速度には消化温度の影響は見られなかったが、7日目以降は消化温度が高くなるほど分解速度は増大し、温度の影響が見られた。 ・枯草菌は、スクロース基質で培養した反応槽からのみ検出することが出来た。
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