研究概要 |
環境影響評価法に基づく環境アセスメントの新しい展開に伴い、アセスメントの技術手法に関しても最新知見に基づき積極的に改良を図っていく必要がある。現在、大気環境アセスメントにおいては、気象データは対象地域における特別測定によって得ることが基本となっており多大の時間と費用を要している。従来は,アメダス等の近傍の観測点データが用いられたが,今後の新規開発や発展途上国への立地においては,近傍に既存の観測点のない場合が多数予測され,数kmの水平分解能の地域気象モデル(メソスケール気象モデル)と物質輸送・拡散モデルの長期積分(1年もしくは季節毎)を行い、高分解能の気象・大気質濃度データを構築するシステムの開発と積極的な利用が必要と成っている。 本研究では、メソスケールモデルRAMSを九州地域に2kmメッシュの高分解能で適用し、通年計算を実施し、モデルの気象パラメーターの再現性を気象官署の観測データをもとに徹底的に解析し、モデル計算の精度の定量的な議論を行い、気象モデル結果を用いた環境アセスメントへの可能性を示した。次に、山形盆地を対象にRAMSと同時に花粉の飛散のトレーサー計算を行い、気象モデルと結合させた花粉飛散の予測の妥当性の検証を進めた。更に、気象モデルRAMSをアジアスケールに展開して、中国内陸域からの風送ダスト(黄砂)の輸送シミュレーションモデルを構築し、妥当性の検討を行い、最近3年間の黄砂輸送の特徴の解析も同時に行った。
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