水生植物による水質浄化で、窒素・りんの除去は、植物による吸収のほか、根圏における吸着と微生物の作用による硝化・脱窒反応によって主に行われる。本年度は、これらのメカニズムのうち、植物による吸収を取り上げ、水生植物(マコモ)を取り上げ、これによる窒素・りん除去量を、水生植物の生育期間全体を通して定量的に評価することを目的とした。このためには、他の要因による窒素・りんの除去をなくすことが必要であるが、それを、水耕栽培技術の確立と、硝化抑制剤の使用、曝気の実施によって可能にした。さらに、この吸収量に対する窒素濃度の影響を検討するため、水耕栽培の栽培液窒素濃度を4条件設定して実験を行った。 実験によって得られた知見は、以下のとおりである。 ◆5月9日より12月19日までの32週間で、吸収された窒素量は、各栽培液窒素濃度条件で次の通りであった。「栽培液初期窒素濃度(mg/L)」:「全無機窒素吸収量(g/32weeks)」、「14」:「24.9」、「28」:「31.5」、「42」:「22.3」、「56」:「28.6」。 ◆この間の水生植物(マコモ)の生長量は、湿潤重量で評価すると次の通りであった。「栽培液初期窒素濃度(mg/L)」:「湿潤重量増加量(g/32weeks)」、「14」:「525」、「28」:「636」、「42」:「411」、「56」:「501」。 ◆以上の結果より、増加湿潤重量100g当たりで吸収量を評価すると次の通りであった。「栽培液初期窒素濃度(mg/L)」:「全無機窒素吸収量(g/100g:132weeks)」、「14」:「0.377」、「28」:「0.498」、「42」:「0.352」、「56」:「0.452」。
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