水質浄化に用いられる水生植物には幾つかの種類があるが、代表的なものとして、ヨシがある。このヨシと同じ抽水植物にマコモがある。筆者らは、これまでマコモの水質浄化機能の定量的評価諏り組んできた。14年度は、二っの代表的抽水植物である、ヨシとマコモの水質浄化機能を評価することを目的として実験を行った。 考察対象とする水質浄化機能を、富栄養化原因物質である、窒素とリンとし、これらの吸収量を評価するため、実験はこれまでと同様に水耕栽培で行った。これは、植物による水質浄化機能を利用した窒素とリンの植生浄化法において、主要な浄化機構である植物による吸収、土壊粒子への吸着、硝化脱窒のうち、植物による吸収だけを取り上げて評価することを意図しているためである。 ◆7月上旬から11月下旬までの20週間(140日間)の窒素、リンの吸収量は以下の通りに評価された。 【table】 これらのデータより、窒素・リンの吸収量は、マコモの方が大きい値となった。しかし、2種類の植物ともに、今回の実験における植物の生育量は、病害虫の発生やヨシの水耕栽培が困難であることによって通常より小さくなっており、この結果だけから評価を決定するのは問題があると考えている。 ◆ヨシ、マコモの吸収した窒素の形態別の評価は以下の通りである。(中央値) 【table】 このように、どちらもアンモニア性窒素の吸収量の方が、硝酸性窒素吸収量よりはる加こ大きいことが明らかとなった。なお、今後、ヨシの水耕栽培技術の確立なども検討して、それぞれの植物の浄化機能を比較検討していくことが課題である。
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