研究概要 |
2種類の水生植物(マコモとヨシ)をポット栽培した。そのポットに上向流で栽培液を流し、ポット流入部と根圏付近の各態窒素・リン濃度および流入部と流出部の流量を測定し、窒素・リン減少量を求めた。このようにして求めた減少量について、8,9,10月の各月に、マコモとヨシを比較した。得られた結果は以下のようにまとめられる。 ◆まず、植物体の生育状況について比較する。マコモの茎の高さは、8月には10cmから200cm程度のものが数本から7〜8本同程度に存在していたが、9月には10cm台の茎が30数本で最多となり、10月はそれが生長して20cm台となり最多となった。一方ヨシの茎高は、8月はマコモと同様の分布であったが、9月には100cmから150cmのものが数を増やし、10本以上となった。そして10月には10cm以下の新しい茎が40本出てきた。 ◆上記のような生育状況の下で、マコモとヨシの窒素・リン減少量を8,9,10月通して比較すると以下のような結果となった。 NH_4-N:ヨシ;368mg、マコモ;430mg NO_3-N:ヨシ;12.5mg、マコモ;20.9mg TIN:ヨシ;401mg、マコモ;457mg PO_4-P:ヨシ;43.4mg、マコモ;51.2mg ◆以上の結果から、本実験条件では窒素・リン減少量はいずれの成分もマコモの方が大きく、根圏を通過することによる水質浄化能力はマコモの方が大きいことが明らかとなった。また、成分ごとにマコモとヨシの違いが大きくなる時期に差があり、NH_4-Nでは10月の差が大きく、NO_3-Nでは8月の差が大きく、TINはNH_4-Nの影響で10月の差が大きくなった。一方、PO_4-Pでは9月の差が大きかった。
|