研究課題
基盤研究(C)
硝化・脱窒作用を抑制した水耕栽培装置によって、二種類の水生植物、マコモとヨシを栽培した。二週間に一度の割合で栽培液を交換し、その時、栽培液量、栽培液中窒素・リン濃度を測定し、この間の吸収量を求めた。この吸収量を積算し、生育期間全体(7月下旬〜11月)での窒素・リン吸収量を評価した。得られた結果は以下のようにまとめられる。◆全無機態窒素(TIN)の積算吸収量は、マコモ:1077mg、ヨシ:1641mgで、マコモ:ヨシ=10:15であった。◆リン酸態リン(PO_4-P)の積算吸収量は、マコモ:201mg、ヨシ:360mgで、マコモ:ヨシ=10:18であった。◆吸収ポテンシャル(単位湿重量当り吸収量)は、窒素・リン共に生育期間前半(7月下旬〜9月)でヨシ>マコモ、後半(10月〜11月)でヨシ≒マコモであった。◆以上のような積算吸収量の差は、それぞれの植物体の生長量(重量)の違いによるものであった。特に、生育期間前半(7月中旬〜9月中旬)の吸収ポテンシャルの違いが生長量に大きく影響した。◆TIN吸収の内訳は、マコモではNH4-N:NO3-N=3:7から9:1へと経時的に変化したが、ヨシでは期間中ほぼ5:5で推移した。積算吸収量の内訳は、マコモ、ヨシで10:6、10:9であった。◆吸収量のN/Pは、マコモは7月には10.5であったが、その後10月中旬まで3.5〜4.5で推移し、その後は約6〜8であった。一方ヨシは、期間中4〜5でほぼ一定であった。また、マコモの単位重量あたり窒素・リン吸収量の生育期間中の変化は、年に寄らず類似する傾向を示した。
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