膜分離活性汚泥法及び標準活性汚泥法における大腸菌ファージ及びふん便性大腸菌群の除去特性を調べた。使用した膜は中空糸MF膜で公称孔径は0.4μmである。RNAファージの平均除去率は膜分離活性汚泥法で5.01Log、標準活性汚泥法で2.59Logで、膜分離活性汚泥法の方が2.42Log大きかった。ふん便性大腸菌群の平均除去率は膜分離活性汚泥法で5.60Log、標準活性汚泥法では2.53Logであり、膜分離活性汚泥法の方が3.1Log大きかった。膜分離活性汚泥法により公称孔径よりも小さい大腸菌ファージに対しても阻止性能が高まることが確認された。膜分離活性汚泥法は標準活性汚泥法よりも細菌及びウイルスに対する微生物安全性に優れていることが示唆された。 中空糸膜の破断割合が約2%でのろ過実験から以下の結果を得た。実験開始前の濁度、ふん便性大腸菌群およびRNAファージはそれぞれ0.15NTU、1CFU/mL及び不検出であった。ろ過開始直後(5分後)における濁度、ふん便性大腸菌群およびRNAファージ濃度は8.53NTU、120CFU/mL、1.3PFU/mLに増加した。各指標ともろ過の経過とともに減少した。このことは膜破断が生じると一時的に安全性が低下することを示唆している。また、膜の破断を検出するために濁度の常時測定が効果的であることが分かった。 一方、大腸菌ファージQβを使用した破断実験から、正常膜と破断膜で除去率に2.3Logの差を得た。このことから、膜分離法では膜破断の検出と安全対策が必要であることが示された。
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