鉄筋コンクリート造骨組の大変形時における挙動を把握するために、構造的に重要な部位である柱梁接合部について詳細な検討が必要と考え、実構造物に存在する様々な柱梁接合部の形状のうち、平面架構の内部柱梁接合部に対象を絞り3年間にわって研究を行った。 準備作業として既往の実験資料を整理して、はじめに柱梁接合部の破壊形式に対する各研究者の定義・判定法を明らかにして、実験結果から数値的に破壊形式を分類する方法を考察した。その結果、破壊形式判定方法は確立できなかったが、必要な諸事項の考察が出来た。梁降伏後に接合部がせん断破壊する条件をパラメトリックに検討したところ、接合部のせん断入力量が大きな要因となることを示し、さらに梁主筋の付着性状などの重要なパラメータを組み合わせて複合的な検討を行った。 平成13年度と14年度は接合部応力状態がより厳しくなる有偏心柱梁接合部のせん断抵抗性状を明らかにするため、実験的に検討を行った。接合部へのせん断入力量と偏心量をパラメータとした10体の試験体による加力実験を行い、偏心量とせん断耐力の関係、偏心に伴う2次応力の影響、特に偏心が接合部破壊のみならず梁曲げ破壊にも影響を与えることを明らかにした。接合部せん断耐力の評価には従来の有効幅の適用が出来るが、破壊現象と対応させて考える必要があることを示した。 平成15年度は有偏心柱梁接合部のせん断抵抗機構を解析的に検討する目的で、前年度の実験で柱梁接合部せん断破壊を生じた無偏心、有偏心試験体3体を対象に、3次元非線形有限要素解析(FEM)を行った。諸現象を忠実に再環するために、諸要因の検討に基づき解析モデルを構築した。解析結果は、実験結果として捉えることが出来ない接合部コンクリートの応力分担を詳細に考察できた。また、2次元FEM解析において、梁主筋降伏後接合部せん断破壊試験体の挙動に与える梁主筋の付着性状の影響を解析的に検討した。
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