研究分担者 |
有川 智 東北大学, 建設省・建築研究所・第二研究部, 主任研究員
桐越 一紀 東北大学, 工学部, 教務職員 (60240660)
金子 佳生 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (60312617)
最知 正芳 東北工業大学, 工学部, 助手 (90104132)
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研究概要 |
ミクロ,メゾ,マクロ各々の段階でのひび割れ特性を確率事象として捉えながら,劣化度を定量化する方法を開発し,既存建築物の劣化度調査に応用するため、以下の研究を実施した。 1)メゾ及びマクロレベルのひび割れパターンの定量化のために,フラクタル解析手法の適用性を検討した。質量分布法の適用性を検討したが、解析結果にばらつきが見られると共に、実際の構造物のひび割れ解析には不適であることを明らかにした。そこで、ボックスカウント法の改良を行い、既往の研究で報告されている柱のひび割れ図を解析し、その方法の有効性を確認した。 2)コンクリートコア供試体を用い,ひび割れ情報と劣化度を結びつけるための基礎研究として,剛性の低下率や超音波伝導速度とひび割れの関係について実験により検討した。 3)ひび割れの顕微鏡観測と確率論的解析により凍結融解や繰返し荷重による劣化度とミクロレベルのひび割れ情報の関係を調べた。凍結融解作用を受けたコンクリートに網目状に進展した微細きれつを定量的に評価する手法として、顕微鏡の画像内に描かれた走査線と微細きれつとの交点を求め、そのカウント数と確率分布の性能をもとにして定量化した。その際に用いる確率分布としては、ポアソン分布よりも正規分布の方が適していた。この定量化の手法をもとに、凍結融解作用を受けた際のコンクリート内部の微細きれつの進展状況を調べたところ、微細きれつは凍結融解のごく初期のサイクルにおいて著しく発展し、その後は漸増するという結果を得た。 4)既存の鉄筋コンクリート構造物の損傷、劣化調査の現状を調査し,解析対象として利用可能なデータの収集を行った。
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