研究概要 |
60MPa級と100MPa級の高強度コンクリートを対象にして、常温〜700℃における高温圧縮実験を実施し、高温時力学的特性に関する基礎データを本研究では蓄積した。さらに、この基礎データに基づいたRC部材の熱応力変形解析を行った。 定常温度圧縮実験では、使用材料と水結合材比を変えた5種類の高強度コンクリートについて、応力-ひずみ関係を得た。この実験結果に基づき、常温圧縮強度に対する高温時圧縮強度の割合,圧縮弓強度のひずみ,および応力-ひずみ曲線を数式化した。 定常温度クリープ実験では、常温時圧縮強度に対して10%〜50%の一定応力下におけるクリープひずみを得た。この実験結果に基づき、高温クリープひずみを数式化した。本実験では、600℃から700℃においてクリープひずみが急増した。 全体ひずみ実験では、一定応力下を受ける状態で昇温過程と降温過程に生じる全体ひずみに関するデータを得た。常温圧縮強度に対して20%以上の一定応力下における全体ひずみは、熱膨張ひずみを相殺して収縮側に生じた。全体ひずみから応力ひずみとクリープひずみと熱膨張ひずみを差し引いて過渡ひずみの値を得て、この過渡ひずみを数式化した。 石灰岩を用いた普通コンクリートに比較して、砂岩を用いた高強度コンクリートは、高温時ヤング係数と高温圧縮強度の低下ならびにクリープひずみが大きく、全体ひずみは収縮側に大きな値を示した。水結合材比の違いによる差異は小さかった。 高強度材料を用いた鉄筋コンクリート柱の耐火試験について、高強度コンクリートの高温素材試験より得たモデルを用いた熱応力変形解析を行った。標準加熱を受ける高強度RC柱の軸変形量を計算した結果、過渡ひずみを考慮した高温素材試験モデルを用いた解析結果は、従来モデルよりも実験結果に近い値を示した。
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