研究概要 |
1.大分市内および那覇市内において調査区域を設定し既存建築物の外観調査を行った。その結果より,大分市ではRC造建物の70%以上が3階建て以上であり,そのうち19%の建物が1階にピロティを有すること,都市計画用途地域でみるとピロティ建物は商業地域や近隣商業地域に多いこと,ピロティ階に壁が全くない完全ピロティタイプが半数以上であること,などを明らかにした。 2.那覇市に最近建設されたRC造建物約500棟の構造図面を調査し,コンクリートブロック(CB)壁の使用状況,および一般に周辺柱・梁のコンクリート打設に先行して組積されるCB壁の存在により構造的にもピロティ階を有することになる建物の割合を分析し,これらの割合が高いことを明らかにした。さらに,CB壁を有するRC造建物7棟の構造解析を行い,原設計では純ラーメンとして設計されているが,2階以上のCB壁の剛性を考慮すると1階の剛性率が0.6を下回ることなどより,構造設計においてCB壁の剛性・耐力を適切に考慮することの重要性を指摘した。 3.大分市内に建設されているRC造ピロティ建物9棟(このうち,1981年新耐震設計法施行以前の建物が6棟,施行後が3棟)の構造図面を収集し,これらの建物の耐震診断,静的漸増載荷解析,地震応答解析を行った。その結果より,新耐震設計法施行以前の建物では必要な耐震性能を満足しない建物が多いこと,ピロティ階の片妻面に壁を有する建物は偏心の影響で耐震性能が低くなること,などを明らかにした。 4.CB壁体をRCフレーム内に先積み,または後積みした耐震壁の耐震性能を明らかにするための水平加力実験装置および試験体の設計・製作を行った。実験装置は,試験体のサイズおよび耐力が現有の装置の能力を超えるため,新しく大型の実験装置を製作した。
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