研究概要 |
1.鉄筋で補強されたコンクリートブロック壁体を先積みし,その後周囲に鉄筋コンクリート(RC)造柱・梁を打設した試験体(先積み耐震壁),RC造フレーム内にコンクリートブロック壁体を後積みした試験体(後積み耐震壁)および比較のため設定した一体打ちのRC造耐震壁試験体の合計8体に対して,静的水平力繰り返し載荷実験を行った。ブロック壁体には全充填型の型枠コンクリートブロックと部分充填型の空洞コンクリートブロックの2種類を用いた。昨年度に実施した実験(試験体4体)の結果とあわせ,次のことなどが明らかとなった。(1)型枠ブロック造先積み耐震壁はRC造一体打ち耐震壁と同程度の最大耐力および変形性能を有している。(2)型枠ブロック造後積み耐震壁は型枠ブロック造先積み耐震壁やRC造耐震壁と同程度の最大耐力を有するが,その後の変形能がやや小さい。(3)空洞ブロック造壁体を用いた耐震壁は型枠ブロック造およびRC造耐震壁と比較して70%程度の最大耐力を有する。 2.昨年度までに実施したピロテイ建物の実地調査の結果や収集した既存RC造建物の構造図面を参考にして,4階建てのモデル建物を設定し,まずその耐震性能を耐震診断や静的漸増載荷解析および地震応答解析により検討した。次いで,耐震補強要素の投入量や配置パターンを変数として,耐震診断や静的漸増載荷解析および地震応答解析により耐震補強効果の検討を行った。その結果,耐震補強要素を偏心のない配置とした場合には,比較的少ない投入量でも目標の耐震補強効果が得られること,一方,偏心が生じると建物のねじり応答により耐震補強要素の負担せん断力が小さくなり,十分な耐震補強効果が得られないことなどを明らかとした。
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