連層ブレースを含む鉄筋コンクリート立体骨組を対象として静的漸増載荷解析および地震応答解析を行い、鉄筋コンクリート柱の軸力変動、鉄骨縦枠の性状、連層ブレースに取り付く直交梁の拘束効果および鉄骨ブレース脇のRC柱における基礎の浮き上がりが建物の耐震性能に与える影響について検討した。典型的な3階建てRC学校校舎(桁行き方向5スパン、張間方向2スパン)を対象として、建物中央部に連層ブレースを設置した。解析では基礎下部に地盤バネを設置して連層ブレースの浮き上がりを再現した。弾塑性立体骨組解析はプログラムCANNY-Eによって行なった。直交梁の拘束効果により連層ブレースの負担せん断力が増加し、骨組全体の耐力は15%上昇した。鉄骨縦枠が引張り軸力を負担することによって、タイプ3の破壊耐力は略算値よりも24%増大した。二方向静的載荷時には直交梁の拘束効果が増大し、基礎浮き上がり発生時の1層の層間変形角が一方向載荷時と比べて、最大で10%増大した。兵庫県南部地震(1995)による地震動(JMA Kobe)を用いた二方向地震応答解析では、浮き上がりを生じた連層ブレース脇のRC柱の1層柱脚における最大曲げモーメントは軸力変動の影響によって、一方向載荷時と比べて桁行き方向で2倍増加し、梁間方向で3割減少した。 上記の解析と平行して、実物の1/4スケールを有する2層3スパン骨組の中央に連層ブレースを設置した場合の破壊性状を静的漸増載荷解析によって検討し、来年度実施する試験体の予備設計を行なった。
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