研究概要 |
側柱に接続するはりを想定したト型試験体を用いて、激震時における柱-はり溶接接合部の破壊性状を実験的に調べた、試験体は柱に□-250x250x9(STKR490),はりにBH-300x150x6x12(SN490B)を用い、通しダイヤフラム形式、且つノンスカラップ形式とした。載荷ははり端の変位がはりの全塑性モーメント時の弾性変形(△_p)の1.0〜2.5倍とする定変位振幅繰返し載荷と、最大変位が△_pの2.0,2.5倍になる不規則変位振幅繰返し載荷とした。不規則変位は固有周期1秒の建物にエルセントロ地震波を作用させた場合の変位応答値で、10秒間の変位応答値を単位として繰返し載荷を行った。 計測項目は荷重、き裂長さ、及びき裂開口変位と繰返し回数等である。 実験から得られた結果は以下の通りである。 1)破壊形式は柱-はり接合部のうちダイヤフラムとはりフランジの溶接部外縁からき裂が発生し、き裂ははりフランジ側の溶接止端部に沿ってフランジ中央部に向かって進展する。き裂長さがフランジ幅の半分程度になると耐力は徐々に低下し最終破断に至る。 2)き裂長さと繰返し回数、並びにき裂開口変位の計測から得られた、き裂進展速度とJ積分範囲の関係は、既に著者等による小型試験片によって得られている関係とほぼ同等の値が得られた。これにより、実構造物における柱-はり溶接接合部のき裂進展解析が可能となった。
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