研究概要 |
本年度は,昨年度から継続してユーザーにわかりやすく揺れ性能を説明する資料の模索を中心に研究を進めた。昨年度に纏めた設計指標となる振動数-加速度軸で表現された揺れ性能の評価レベルをふまえて実験データの条件を整理し,ばらつきを平滑化した評価曲線を提示した。 さらに,この評価レベルをユーザーに近い表現で説明するため,揺れを感じる人の割合や心理・感覚の表現にあてはまる人の割合,すなわち感覚側のばらつきに基づいて,揺れ性能のグレードを説明することを試み,資料を作成してみた。昨年度までに蓄積した,揺れの感じ方に関する調査・実験データの解析を進める一方で,被験者実験やアンケート・ヒアリング調査などを通して,よりわかりやすい説明方法や表現方法の検討とこれまでの実験結果の検証を並行して行っている。 現段階では,作成した資料を用いてユーザーと専門家にヒアリング調査を行ない,説明に用いる項目の種類や数,資料としてのプレゼンテーション方法などについて意見を集めている。その結果をふまえて,ユーザーによりわかりやすく説明された評価レベルを,専門家が設計指標としてくみ取れるような資料を作成したいと考えている。 一方,揺れ性能だけでなく住宅性能全般を対象としたユーザーの意識調査や性能説明方法に関する検討,工務店やリフォーム関連企業などとユーザーとのコミュニケーションの現状調査を進めており,住宅性能全般における揺れ性能の位置づけをみた上で,次年度以降に結果を纏める予定である。ユーザー調査の新しい方法として昨年度より作成を進めているインターネットによるアンケートのコンテンツもより数を増やし,近日中の公開に向けて最終準備に入っている。
|