研究概要 |
本年度は,当研究課題のまとめとして,知覚確率に基づいて提示した居住性能評価の指標をふまえ,ユーザーによりわかりやすく,実感できる表現として揺れ性能を説明するための資料を提案した。継続して実施したユーザーに対するヒアリング・アンケート調査の結果や専門家に対するヒアリングで聞かれた意見ををふまえ,揺れ性能の説明に用いる項目の種類や数,説明資料としてのプレゼンテーション方法などについて試行錯誤を繰り返して洗練した。すなわち,知覚閾および感覚評価における回答確率が,居住性能評価の対象となる加速度範囲でほぼ0〜100%に変動する項目を選択し,振動数ごとに各項目の回答確率を加速度最大値と対応させる。これによって揺れ性能レベルを段階的に評価し,ユーザーに身近な表現で示された性能レベルを専門家が設計指標としてくみ取れる資料を提示した。これらの結果は,日本建築学会から4月に刊行予定の「建築物の振動に関する居住性能評価指針・同解説」に反映されている。 これらの揺れ性能を位置づける上で,本年度は一般ユーザーを対象とした全国規模のアンケートを行い,これまでに行った調査の結果に加えて,ユーザーの住宅性能に対する意識を明らかにすることができた。また,ユーザー調査の新しい方法として作成を進めているインターネットによるコンテンツも,順次公開を進めている。
|